世界各地における紛争や対立の原因の1つとなっている宗教的な経緯を、世界史や地政学、経済、民族や部族などの観点とも合わせて紹介・解説している作品。
宗教や宗派、民族や部族ごとの対立もあるが、それぞれのグループ内部でも急進派と穏健派、他のどのグループと協力するかなどでも派閥が分かれているケースも書かれていて、ニュースなどで報道される以上に複雑で分かりにくいことがいくつも書かれている。
日本では報道されることが少ない中央アフリカでのフツ族とツチ族の対立を起因として8ヵ国が関わった「アフリカ大戦」や、南スーダンでのイスラム教徒とキリスト教徒の対立、中米におけるカトリック、プロテスタント、解放の神学派(カトリック系だがヴァチカンは非公認)のキリスト教三派の三つ巴の争いなど、知らなかったことが多くて暗たんとした気持ちにもなる。
著者が末尾で見解のコメントをしているところが微妙に偉そうに感じるところもないではないが、紹介という観点からはまずまず興味深く読むことができたかもしれない。
- 著者の作品について書いた記事
- 『キリスト教からよむ世界史』
- 『「民族」を知れば、世界史の流れが見通せる』
- 『ライバル国からよむ世界史』
- 『滅亡から読み解く世界史 教科書が語らない「その後」が面白い!』
- 『30の戦いからよむ世界史〈上〉』
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