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『始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎』:雨読夜話

ここでは、「『始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎』」 に関する記事を紹介しています。



人気漫画『キングダム』を用いて、秦が法家思想をベースとした政治によって他の六国に先んじて民族や地勢がバラバラな中国大陸で統一国家を建設し、その後の中国の王朝が統一国家が基本となった経緯を解説している作品。

序盤で、当時の社会変化からすると統一国家ができるのは秦による統一よりも400年後くらいだとされていると書かれていて、400年も先取りしたことがいかに異例なことだったかが伝わってくる。

当時は氏族制・封建制の社会だったわけで、法の支配へ変革することがいかに困難だったのかが、改革者たちが悲惨な最期を遂げたことからも分かる。

その中で秦は比較的文化的に遅れていた分だけ、王族や貴族といった既得権益層の抵抗が少なかったことが法家による改革が進んだ理由と書かれていて、『韓非子』などで知っている話が紹介されている。

秦の弱点は法家思想で法と権力による統治はできるが、正統性(と人々に信じさせるもの)や権威が不足していたことで、始皇帝が不老不死を追い求めたことも、「死なない皇帝」としての権威を求めたためではないかという仮説は、強引だがつじつまは合っていそうに感じた。

秦の後でその弱点を修正しながら数百年続いた漢王朝では、封建制から郡県制への過渡期として郡国制を採用したり、法家思想一本やりだと秦の二の舞になるので暫定として黄老思想でしのいだり、儀式に儒教を採用するなど試行錯誤を繰り返し、武帝の時代に儒教を国教化したことで権威付けのシステムがある程度完成し、その後のモデルとなったことが書かれている。

法家による権力だけでもダメ、儒教による権威付けだけでも不足と、政治で求められるエッセンスが書かれているのが興味深く、ところどころで挿入されている『キングダム』のコマも含めて楽しむことができた。





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