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『組織サバイバルの教科書 韓非子』:雨読夜話

ここでは、「『組織サバイバルの教科書 韓非子』」 に関する記事を紹介しています。

組織サバイバルの教科書 韓非子
守屋 淳
日本経済新聞出版社 2016/8/18



『韓非子』の思想を『論語』など他の思想と比較したり、現在の会社組織での利用方法を考察するなどして解説している作品。
韓非子が目標とした組織はある目的のために一丸となるという意味で、現在の株式会社が近いという話が面白い。

『論語』でも『韓非子』でも「人間は弱い」という部分は共通していて、成長して弱さを克服する方向を目指したのが『論語』で、弱さを前提としたシステム構築をするのが『韓非子』ということで対比している。

そして法によって人間の判断ミスを減らすことを語る『韓非子』でも、結局のところ運用面で部下の下剋上を防ぐ方法が書かれていたり、信頼する部下がいなければ体制の継続が難しいことも書かれていて、人間がやっていることなので限界はあることを再認識させられる。

秦の天下統一後に法家思想がうまくいかなかった一因には賞罰の賞を与える余地が小さくなったことを挙げていて、先日読んだ『始皇帝 中華統一の思想 『キングダム』で解く中国大陸の謎』に書かれていた、権威による正統性の不足だけではないことを認識し、視野が広がった気がした。

賞を与えられなければあくまで進出・拡張を続けるか、自由や名誉のように抽象的な賞を与えるか、儒教的な忠孝のように賞以外で忠誠心を持たせる思想を導入するか、という話になり、日本で信長・秀吉・家康の3人の時代のことを連想した。

このあたりはマキャベリの『君主論』で書かれていた、君主になる前は気前良くてもいいが君主になったらケチと言われることを恐れてはいけないという話にも通じている。

他にも君主が側近から権力を奪われないための術策や、権力を乱用する上位者への対策として、社外取締役やコンサルタントといった外部の力を借りることや、依存せざるを得ない仕事を担当することなどが挙げられているのも印象に残る。

著者は『孫子』とクラウゼヴィッツの『戦争論』を比較して論じた『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ ―その活用の方程式』を著しているので、『韓非子』と『君主論』を比較しながら語る『韓非子・統治・マキャベリ』みたいな本を書いてほしいと思っている。






『韓非子』に学ぶリーダー哲学
竹内 良雄 川崎 享
東洋経済新報社 2017/4/28



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