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『ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)』:雨読夜話

ここでは、「『ローマ人の物語〈9〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(中)』」 に関する記事を紹介しています。



塩野七生による『ローマ人の物語』シリーズのうち、ユリウス・カエサルが活躍する部分の第2作。
第一回三頭政治の成立から、ガリア遠征の前半が扱われている。

キケロや小カトーのような元老院派の執拗な妨害に対し、カエサルは英雄のポンペイウス、カエサルの最大の債権者でローマ随一の富豪であるクラッススと三頭政治を構築することに成功する。

高い名声はあるが政治的な交渉や演説が苦手で元老院にしてやられることが多かったポンペイウス、財力はあるが人望がないクラッスス、政治力や民衆の支持はあるが財力や元老院での影響力が不足していたカエサルと、それぞれの弱点を補いあう形の同盟だったようで、こうした体制は歴史上繰り返されている。

その上でカエサルは執政官を経て北イタリアや南フランスの属州総督に就任し、ガリア(現在のフランス、スイス、ベルギー、オランダなど)への遠征に乗り出していく。

ガリア人の反抗的な部族との戦い、ライン川からガリアに侵入を図るゲルマン人との戦い、そしてブリタニア(現在のイギリス)への遠征と、カエサルは毎年多くの軍団を率いて戦いに明け暮れることになる。

このあたりはカエサル自身が書いて当時も後世でも評判が高い『ガリア戦記』の記述に従って書かれている部分が多く、ローマ兵だけでなく協力関係にあるガリア人やゲルマン人などへの指導力、臨機応変で先を読んだ用兵、ローマの攻城やインフラ技術を生かした戦い方などが多く書かれていて面白い。

各地に割拠して反抗する部族も多い環境、兵站の不安、劣悪な交通事情、裏切ったりする部族が出てくるなど多くの悪条件の中で成果を上げているカエサルの実績が、読み進めていくうちに分かってくる。

戦いがしづらい冬の間はローマ政界への工作を代理人に当たる協力者を通じて行うなど、英雄何人分もの活躍をしている記述に驚きながらも、下巻に進んでいく。






ガリア戦記 (講談社学術文庫)
カエサル (著), 國原 吉之助 (翻訳)
講談社 1994/4/28


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