FC2ブログ

『ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)』:雨読夜話

ここでは、「『ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下)』」 に関する記事を紹介しています。



塩野七生による『ローマ人の物語』シリーズのカエサル編第3作で、三頭政治の終焉にガリア戦役の仕上げ、ポンペイウスと結びついた元老院派との戦いのためにルビコン川を渡るまでが描かれている。

まず序盤で、クラッススがオリエントでパルティア(ペルシア系国家)との戦争で敗死したことで三頭政治が終わってしまう。

本書を読む前は単純にパルティアが強かっただけだくらいに思っていたが、実際はローマ側の敗因が大きかったようである。
確かにパルティアにスレナスという名将が現れて新戦術を用いたこともあるが、経済人としては優れていたクラッススが軍事面では愚将で、ポンペイウスやカエサルに対抗心を燃やして戦果を上げようと焦ってしまったことが最大の敗因であり、突き詰めるとトップのライバル意識が原因で惨敗というのは割り切れない。

ガリア戦役ではカエサルのもとで大活躍したクラッススの長男がパルティア戦で戦死したのももったいない気持ちがあるし、勝利者となったスレナスがパルティア王から名声を危険視されて殺され新戦術が忘れられたことも残念な感情になる。

そしてカエサルが進めていたガリア戦役では、ヴェルチンジェトリックスというガリアの若い指導者がガリアの大半の部族を糾合して大反乱を起こし、カエサルを苦戦させている。

最終的にはカエサルが勝利して降伏の後に処刑されるが、あのカエサルをこれだけてこずらせたヴェルチンジェトリックスもまた1人の傑物であり、カエサルが若い頃の自分に似ていると感じて処刑を残念がったことも分かる気がする。

終盤はポンペイウスを取り込んだ元老院派との戦いで、虚々実々の駆け引きの果てに「ルビコン川」や「賽は投げられた」のエピソードの話に続いていく。

ここではカエサルを副官として長く支えてきたが、ポンペイウスのクリエンテス(後援者や使用人などを含有する立場、日本語に適切な訳語がない)でもあることから、カエサルのもとを去ったラビエヌスの話が強い余韻を残している。

話が盛り上がったことで次が読みたくなったので、続編の『ルビコン以後』も購入してきた。
続けて読んでいくつもりである。






ガリア戦記 (講談社学術文庫)
カエサル (著), 國原 吉之助 (翻訳)
講談社 1994/4/28


内乱記 (講談社学術文庫)
カエサル (著), 國原 吉之助 (翻訳)
講談社 1996/6/10


にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




関連タグ : 塩野七生,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック