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『水戸光圀語録―生きつづける合理的精神』:雨読夜話

ここでは、「『水戸光圀語録―生きつづける合理的精神』」 に関する記事を紹介しています。



時代劇『水戸黄門』で有名な水戸徳川家2代目の徳川光圀の言葉を紹介・解説している作品。

父・頼房は比較的放任主義的な教育方針だったらしく、若い頃の光圀は遊び人で壮年になってからも酒豪で知られたようだが、それだけに世情に通じ、民を労わることや役人による苛政などを戒める言葉も多く、このあたりは『水戸黄門』のモデルになったことを納得させてくれる。

また、光圀が活躍したのは江戸時代初期でまだ戦国の気風が残っていたらしく、光圀が執政を務めていた寵臣を刺殺した事件があったり、切り捨て御免などがよく行われたようで、自らに対してもだろうが、人を簡単に斬る風潮を戒める言葉もまた、時代背景を考えると先が見えていたのだろう。

光圀の業績には『大日本史』の編纂を始めたことが知られ、これが水戸学となって幕末に尊王攘夷運動の一因になったが、光圀自身は後世の水戸学のような原理主義的な思想ではなく、司馬遷の『史記』にあるような批判的精神を持った上で史実に基づく歴史書を意図していたことが書かれていて、少し意外にも感じた。

資料の収集においては公家などが秘伝として史書を見せてくれないことに悩まされたようで、公開してどんどん書写すべきだと語っていたり、これに限らず農産品などでも同様の趣旨のことを語っていて、いいものは公開して広めるべきという合理的な精神にもまた、時代背景を考慮すると驚かされる。

他にも部下にいかに働いてもらうかや、天変地異は政治状況とは関係ないので正しい政治を行うことが大切と語るなど、例えば林羅山のような朱子学者などとはかなり言っていることが違うのが興味深い。

多分光圀についてメインで書かれた本を読むのは本書が初めてだと思うので、他にも類書などを読んでみたい。






光圀伝 (上) (角川文庫)
冲方 丁
KADOKAWA/角川書店 (2015-06-20)


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