fc2ブログ

『なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか』:雨読夜話

ここでは、「『なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか』」 に関する記事を紹介しています。

クリス・D・トマス (著), 上原 ゆうこ (翻訳)
原書房 (2018/11/9)


悪者扱いされることが多い外来生物が生態系を豊かにすることが多く、人の活動によって生物の移動が盛んになった状態を前提とした現実的な自然保護を提唱している作品。
少し前に読んだ『外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD』がとても面白かったので、近いテーマの本書を読んでみた。

中央アジアから全世界に広まってヨーロッパの種類との間に新種も生まれたスズメ、カリフォルニアで減少している一方で南半球に持ち込まれて多く植林されたり野生化したマツ、その逆にオーストラリアからアメリカやアフリカなどに広まったユーカリなど多くの外来生物が紹介され、それぞれの地域で成功を収めて生態系を豊かにしている例を上げている。

もちろん、南太平洋やオセアニアで人やネズミが来たことで狩猟や食害、病気などで絶滅した飛べない鳥や、マンモスのように人に狩りつくされて滅んだ種のように、マイナスの結果となったケースもあるわけだが、全体を通してみると外来生物がプラスの効果を上げていることが多いことを解説していく。

その中には移動により繁殖した例だけでなく、在来種と交雑したり、外来の植物を食べるように進化した虫のように進化を遂げる例など、新たな種が生まれる話も多く書かれている。

人が生態系に手を加えることの是非が議論されることも多いが、『外来種は本当に悪者か?』にも書かれているように固定した生態系は想像の中にしか存在せず、現在は人が生態系に急激な変化をもたらす「人新世」の時代であり、地球を狭く感じるのは人間だけではなくて生物にとってもそうで、「ニュー・パンゲア」と表現しているのも面白い。

そして絶滅が危惧される種は別の地域で殖えることを試みることもありえるとしたり、方向性としては在来の生物が絶滅しない程度に外来生物の繁殖を放任することなどを語っていて、なるほどと思えるポイントも多い。
少なくとも、外来生物は駆除すべきもの、とだけの主張よりも広い視野からの考えだと思える。

本書もまた充実した内容で、興味深く読むことができた。





にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック