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『外来種のウソ・ホントを科学する』:雨読夜話

ここでは、「『外来種のウソ・ホントを科学する』」 に関する記事を紹介しています。

ケン トムソン (著), 屋代 通子 (翻訳)
築地書館 (2017/3/3)


英国の生物学者による、外来生物に関して持たれているイメージについて、実際はどうなっていて、どのようにしていくのがいいのか?を多くの事例とともに語っている作品。

テーマが近い『外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD』『なぜわれわれは外来生物を受け入れる必要があるのか』が面白かったので、続けて読んだ。

最初に、「ラクダはどこが在来種なのか?」という問いから話を始めている。
中東というイメージがあるラクダだが、実は北米で進化し、南米で多様な種が生まれ、現在も野生で生きているのはオーストラリアだけと、見方によって4種類の答えがあり、テーマの複雑さを分かりやすく伝えてくれている。

「外来種が在来種を駆逐して生態系を悪化させる」という話が確証もなく語られることが多いが、実際に調べてみると外来種が目立っていただけで、在来種の減少は人間による環境の改変によるものだったり、外来種に依存するようになった在来種がいるなど、外来種を悪者扱いするのは早計だということが書かれている。

また、外来種がもたらすプラスの影響はガン無視されることが多いことや、数年から数十年という長いスパンだと繁殖していた外来種が数を減らして在来種とほどほどの割合になることが多いという事例、外来種を駆除するために薬品を撒いたり天敵を連れてくる手法は安易に実施すると逆効果になることが多いなど、人間が変に介入して失敗する話が多く書かれている。

そもそも在来種と外来種という区分けがけっこういい加減で、傾向としては数が少なくて見た目が良かったり人間に役に立つものが在来種、殖え過ぎるくらいに殖えていて目障りだったり人間が気に入らない生態のものが外来種に分類されることも語られている。

元の地域では絶滅危惧種だったのに別の地域に外来種として入り込んだら殖え過ぎて問題視される事例も扱われていて、気候変動による種の絶滅への対応として、例えばスペインで絶滅の危機にあるヤマネコを英国に放つという提案も紹介されている。

具体的なデータから、生態学者などが外来種に対して抱くイメージの怪しさを分かりやすく解説していて、非常に興味深く読むことができた。





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