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『都市で進化する生物たち: ”ダーウィン”が街にやってくる』:雨読夜話

ここでは、「『都市で進化する生物たち: ”ダーウィン”が街にやってくる』」 に関する記事を紹介しています。

メノ スヒルトハウゼン (著), 岸 由二 (翻訳), 小宮 繁 (翻訳)
草思社 (2020/8/18)


都市の環境に合わせて生態や容姿が変わったり、元々住んでいた種とは異なる種に分化しつつある生物たちの例を紹介し、人間が作り出した都市という環境での生態系について考察している作品。

例として挙げられている生物は、亜鉛を羽に効率よく輩出して黒っぽくなった鳥、自らで割ることができないクルミを自動車に轢かせることで食べるようになったカラス、都会の居心地の良さを知って定住するようになった渡り鳥、ダニやノミを排除するために巣にタバコの吸い殻を入れる鳥などが挙げられている。

以前NHKの番組「ダーウィンが来た!」で観て衝撃を受けた、水辺に来たハトを水の中に引きずり込んで丸呑みにするようになったヨーロッパの巨大ナマズも紹介されていて、あったあったと思いながら読んだ。

以前から蟻やビーバーなど、他の生物が暮らしやすい環境を構築するタイプの生物のことを「生態系工学技術生物」と称するらしいが、人間こそ最大の生態系工学技術生物なのだということが分かってくる。

また、シーボルトなどが日本からヨーロッパに持ち込んだことで世界中に広まったイタドリなどの外来生物の話にも及んでいて、人間の移動などに伴った生物の移動によって世界中の都市の生態系が似たり寄ったりになってきているらしいという話は少し驚いた。

こうした観点からの研究は生物学と都市工学の双方にまたがるためにあまり進んでいないようで、六本木ヒルズやアクロス福岡のように緑化した建造物のことも書かれているのが興味深い。

著者はオランダ出身で欧米だけでなく日本では東京や仙台、そして東南アジアなど多くの場所でフィールドワークをしていることが書かれていて、幅広い例が出てくるのも納得できた。

翻訳は『「自然」という幻想: 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』と同じ人がしていて、『「自然」という幻想:』の次に読まれて欲しいとの意図から出版社に話を持ち掛けたことを「訳者あとがき」で触れている。

この手の本は例が多かったりして読むのに時間がかかる傾向があるが、本書も時間をかけて読んだだけの読みごたえがあって良かったと思う。




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