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『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 1』:雨読夜話

ここでは、「『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 1』」 に関する記事を紹介しています。

塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/5/28)


中世に地中海での貿易で栄え、ナポレオンに滅ぼされるまで1000年以上にわたって共和制を維持し続けてきたヴェネチア共和国の事績を描いた歴史読み物の第1作(全6作)。

イタリアに攻め込んできたフン族から逃れるために人が住めないと思われていた潟(ラグーナ)に人々が住み始めたのがヴェネチアの始まりとされ、その後も環境を活かしてフランク王国の侵攻を退けたり、ビザンツ帝国、フランク王国、ローマ教皇、神聖ローマ帝国といった周辺の強国への外交によってうまく立ち回るなどして、強力な海軍を持つ都市国家へと発展していく。

インフラ的な話としては水の流れが滞ると腐敗物が溜まって伝染病が流行する原因になるため運河を張り巡らしたり、地盤が脆弱で地下水のくみ上げができないために雨水をためる井戸を建設するなど、オランダや江戸などと同様に人が作り上げた地形だということが分かる。

また、アドリア海の東岸に盤踞していた海賊をビザンチン帝国の依頼という大義名分を得て退治した上に報酬として優遇措置まで得た話や、十字軍への協力時にライバルに当たるピサの海軍を攻撃してビザンチン帝国に圧力を加えた話、さらにはフランス人が主体となった第四次十字軍を動かすことで関係が悪化していたビザンチン帝国を滅ぼして東地中海のあちこちに拠点を築くなど、人口が少ない都市国家としてはかなりの結果を出していることが分かる。

住民の宗教はカトリックだが少し離れて干渉してくる心配が少ない東方正教会のビザンチン帝国に属することで、皇帝派と教皇派の戦いに巻き込まれることを防いだり、ビザンチン帝国が優遇措置を撤廃してりライバルのジェノヴァなどを優遇する動きを見せるときっちり報復するなど、リアリストたちが運営する国家という話が印象に残る。

本作では成功を収めた話が多かったようなので、さまざまな困難が発生したであろう次作も読んでみようと思う。





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