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『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 2』:雨読夜話

ここでは、「『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 2』」 に関する記事を紹介しています。

塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/5/28)


中世のヴェネチア共和国を描いた歴史読み物の2/6巻。
本作では前半がヴェネチアの商業、後半がヴェネチアの政治システムについて書かれている。

商業では、ヴェネチアが現代で言えばシンガポールのように国のサイズが小さくて「行政指導」をやりやすいというか、やらなければ国を保てないという事情から、各地で活動する商人たちから情報を収集し、必要に応じて艦隊を派遣するなどの話が書かれている。

東地中海に海軍に護衛された定期航路を運航することや、ムスリムとの貿易を嫌うローマ教皇からの干渉に対しては中東に住むアルメニア人の都市をダミーとして貿易するという裏技、賄賂による腐敗を防ぐために罰金を高額なものにするなどの活動が印象に残る。

そして、政治では共和制を維持するための方策がいくつも書かれていて、現代的な観点からは民主的と感じられない部分も多いが、当時としてはそうするだけの理由があったことも書かれているので納得しやすい。

英雄が出現して君主制になるとローマ教皇や神聖ローマ皇帝の支配下に入らされる公算が高くなり、民主的にやりすぎるとポピュリズムや扇動者による問題が発生するわけで、これはいつの時代でも問題になっていることが分かる。

ヴェネチアでは元首(大統領みたいな存在)に補佐官を複数付けて独断で政治ができないようにしたり、ローマ・カトリックの干渉を排除した手法、終身議員を増やすという一見反動的と見られる手法が人材確保に効果を発揮したらしいことなど、政治の奥深さとヴェネチア人、中でも政治改革を成し遂げた元首のグラデニーゴの知恵に凄みを感じる。

次の3/6巻ではライバルに当たるジェノヴァとの関係などが書かれているようなので、これも読んでいくつもりである。




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