fc2ブログ

『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 4』:雨読夜話

ここでは、「『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 4』」 に関する記事を紹介しています。

塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/6/27)


中世のヴェネチア共和国を描いた歴史読み物の4/6巻。
本作ではオスマン帝国との戦いと、エルサレム巡礼をパック旅行にした話が収録されている。

オスマン帝国はコンスタンティノープルを陥落させてビザンツ帝国を滅亡させたことで、東地中海や黒海の貿易利権をビザンツ帝国から得ていたヴェネチアは窮地に陥る。

ジェノヴァとの戦いでは同じ海洋国家でカトリックという共通点があるために被害が一定以上になると交渉がしやすい部分もあったが、オスマン帝国は異教徒のムスリム、多数の兵力を持つ陸軍国、そして西欧的な交渉や利害得失の計算が通用しない相手ということがあり、大陸に近い拠点や大きな島を占拠されるシーンが多く出てくる。

また、多くの人が予想していなかったコンスタンティノープル占領を成功させた英傑・メフメト2世(本作ではイタリア語読み?でマホメッド2世と表記)が活躍する分、ヴェネチアは苦しめられる形になっている。

後半ではイギリスやフランス、ドイツ、イタリアなどからエルサレムへ巡礼に行く人々に対し、ヴェネチアがさまざまな便宜を図って観光業で儲けていたかの話が書かれている。

ミラノの司祭の日記をもとに、ヴェネチアでは船が出るまでに多くの施設や聖遺物などの観光、ヴェネチア政府の公務員でもあるコンシェルジュに当たる人々のサポート、そして航海でもヴェネチアの船を使ってヴェネチア領でももてなすなど、現代でもやっていそうな手法を取っているのが印象に残る。

海軍はすごいが人口や陸軍に大きな弱点を抱えるヴェネチアが次に直面するのは大航海時代ということで、そのあたりを描いた第5巻も読んでみる。




にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




関連タグ : 塩野七生,

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック