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『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 5』:雨読夜話

ここでは、「『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 5』」 に関する記事を紹介しています。

塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/6/27)


中世のヴェネチア共和国を描いた歴史読み物の5/6巻。

大航海時代になってポルトガルがインド洋から紅海の貿易ルートを抑える時期があったり、続いてスペインが台頭してオスマン帝国との間で板挟みになるなど、ヴェネチア単独では事態を打開できない時期に入っている。

進取の気質があるのに大西洋やインド洋への進出がなかったことについて、実は東地中海でもオスマン帝国やサファヴィー朝ペルシアの巻き返しがあったことで意外と貿易が落ちなかった話や、経済情勢の変化に応じて手工業や農業でも儲けるようになった話が書かれていて、単純に衰退していったわけでもないことが分かる。

また、共和制の弱点である決断から行動への遅さについては、元首や補佐官、十人委員会などから構成される40人くらいの中枢を占める人々によって緊急時に重要な決定を下すことができるという、統治能力のシステムを構築したことで君主制の国と渡り合う話も興味深い。

しかし、共和制で強制労働をさせられる人々がほとんどいないこと、後背地から人員を集めることが難しいことなどから、兵力の不足には常時悩まされていることが書かれていて、このために大軍を編成できるオスマン帝国とスペインなどには単独で戦えないことが語られている。

スペインがオスマン帝国を破ったレパントの海戦でもヴェネチアはローマ教皇軍とともにスペインと連合を組んだものの、スペインとの利害が一致せずに戦力を十分に運用できないのは小国のつらさということになりそうである。

面白いので思っていた以上に早く読み進んできたが次が最終巻、ナポレオンに滅ぼされるまでの話となるのでこれも読む。




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