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『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 6』:雨読夜話

ここでは、「『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 6』」 に関する記事を紹介しています。

塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/6/27)


全6巻でヴェネチア共和国の歴史を描いた『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』シリーズの最終巻。

これまで東地中海の最重要拠点として守り抜いてきたクレタ島をはじめとした拠点の数々をオスマン帝国に占領され、ヨーロッパの交易の中心が北海や大西洋に移ってオランダやイギリスが台頭したことで二流国に転落、その結果としてこれまでのようにオスマン帝国との戦いでは西欧諸国からもあまり支援も得られなくなり・・・と、どんどん事態が悪化していく。

また、産業構造が交易中心だったのが北イタリアの領土が増えて手工業や農業が産業に占める割合が高くなって貧富の差が固定化したことで、票の売り買いがなされて議員のレベルが低下したりと、構造的な問題も顕在化していく。

それでも非武装中立という、どこぞの国のお花畑な考えの人々が喜びそうな政策を取っていてしばらく続けられたものの、フランス革命によってナポレオンがイタリア方面司令官を務めるフランス軍VSこれまで付き合いが長くてイギリスなどが背後にいるオーストリア軍の戦いに巻き込まれ、ナポレオンに降伏するまでの道を歩んでいる。

ナポレオン出現前後には外交上のミスも多かったことが書かれているが、もうこの時点ではフランスと対仏大同盟の間で中立を保つことはほぼ無理に近かったのではないか?と思われるので、ヴェネチア共和国の存在自体が情勢的に許されなくなったのかもしれない。

むしろ、他のイタリア都市国家が次々と他国の勢力に支配される中で、18世紀末までしぶとく独立を守り続けてきたことを高く評価すべきだと感じた。
かなり読みごたえのあるシリーズだったことを、改めて認識している。




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