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『現代経済学の直観的方法』:雨読夜話

ここでは、「『現代経済学の直観的方法』」 に関する記事を紹介しています。

長沼 伸一郎 (著)
講談社 (2020/4/9)


昨年読んだ『世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器』の著者による、経済学の概念をとっつきにくいと感じる文系および理系の方が経済を理解しやすくするにはどう説明していけばいいか?という観点から書かれた、マクロ経済や通貨、今後の資本主義の見通しなどに関する解説書。

資本主義は成長し続けないと倒れてしまう不安定なシステムと位置付け、鉄道で市場と家庭でお金のやり取りをする図から、資本主義では貯蓄が(間接金融として)投資と同義になることを分かりやすく図解していたり、ゆるやかなインフレが望ましいのはサーキットの拡大に一部で追いつかない部分があるからという図解、(新)古典派経済学・ケインジアン・マルキシズムの経済学の3流派は投資家、企業家、消費者のうちの誰を優遇するか?で色分けできることなど、経済学で理解するのに時間がかかりそうなポイントを限られたページで分かりやすく語っているのがすごい。

中世のキリスト教世界やイスラム教世界が貯蓄や利子をどのように処理するかで工夫されていたという考え方や、資本主義は壊れようがないくらい人間の欲望に適合した原始的な部分があるから不安定ながらも続いているという話は、他であまり読んだことがないので特に強く印象に残る。

仮想通貨=暗号資産についても章が設けられていて、ビットコインのような大掛かりなシステムと少数の管理者がいればそこまで複雑でなくてもいいブロックチェーンのシステムを超大型機と中・小型機に例えているところや、仮想通貨は発行数に絶対的な制限がかかっている形のために金本位制と同じ長所と短所があることなどが書かれているのも分かりやすい。

最終章では、現代の資本主義が行き着きつつある状況を「縮退とコラプサー」と表現していて、『世界史の構造的理解』でも触れられていた話であり、先日読んだマット・リドレー著『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』に書かれていたイノベーション欠乏という話と通じているかもしれないと感じたりもした。

文系の人が書いたらまず出てこないであろう表現が多いのが面白いし、著者が「はじめに」で本書を読めば経済に関する主要なテーマを扱った9冊の本のポイントを抑えられると語っているだけのことがあって、視野が広がったり理解していることの整理ができた気がする。





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