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『歴史の読み方―明日を予見する「日本史の法則」』:雨読夜話

ここでは、「『歴史の読み方―明日を予見する「日本史の法則」』」 に関する記事を紹介しています。
歴史の読み方―明日を予見する「日本史の法則」 (ノン・ポシェット)
歴史の読み方―明日を予見する「日本史の法則」 (ノン・ポシェット)
渡部 昇一 (著), 竹村 健一 (編集)
祥伝社 1991-02

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竹村健一が出す日本人や日本史に関するお題に対して、渡部昇一が日本人の歴史について語るという本。
和という話し合い尊重主義や外国の文化を積極的に取り込み消化する力、天皇を中心に立てる体制を建国以来続けてきた賢さなど、日本人の優れた部分を歴史的背景や外国との比較から述べていて読んでいて元気付けられる。

本書で特に印象に残ったのは以下の2点。
(1)人間の知恵には限界があるので、観念から始まった急激な変化は大きな不幸をもたらす
(2)金権政治や政治の腐敗大いに結構、正義を振りかざされる不幸に比べれば全然まし

(1)については、近代のイギリスとフランスが例として挙げられている。
イギリスの哲学者ヒュームは清教徒革命後のクロムウェルの恐怖政治への反省から、急激な改革は想像もつかない人災が起こるため、既存の体制を慣習法に従って徐々に改善していくべきであると説いた。
この考え方が立憲君主制のもと大英帝国の繁栄を支えたとしている。

それに対し『社会契約論』で知られるフランスのルソーは社会は契約で成立するという知性万能主義を説き、これがフランス革命からその後のロベスピエールの恐怖政治、そしてナポレオン帝政への歓迎と次々に悲劇が発生したとする。
通常人権宣言など賞賛されることが多いフランス革命だが、悲劇という見方は考えてもみなかったので、少々衝撃を受けた。
この考えは、マルクス主義やケインズ経済学にもあてはまり、慣習の流れから大きく逸脱した政策は、応急措置としてはともかく長期的には不利であるということが実感された。

(2)については江戸時代を例として出されており、元禄文化や化政文化が花開いたのは田沼意次のような政治家が活躍する政治腐敗の時代であり、その後徳川吉宗や松平定信のような政治家が正義を振りかざす政策を採るととたんに経済も文化もしぼんでしまったことから、政治腐敗は文化が起こるほどの安定した世の中だということになる。

また、金権政治が蔓延するような世の中ではどの政党もそろばん勘定をきちんと弾いて戦争などという莫大な浪費はやろうとしない。逆に正義というイデオロギーに凝り固まった政権の方が、”正義のために”という旗印のもと利害を超越して戦争や恐怖政治などの不幸を引き起こしやすいので、害が大きいとしている。

不完全な人間のやることだから正義はほどほどに、金権政治や腐敗もある種の必要悪なので慣習法の範囲内で処理すべきだという考え方には、妙に説得力があった。



[ヒュームの著作]

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