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『日出る国の工場』:雨読夜話

ここでは、「『日出る国の工場』」 に関する記事を紹介しています。
日出る国の工場 (新潮文庫)
日出る国の工場 (新潮文庫)
村上 春樹 (著), 安西 水丸 (著)
新潮社 1990-03

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作家の村上春樹が、イラストレーターの安西水丸とともに工場あるいは工場に近いと感じた場所に見学に出かけた体験をつづったエッセイ。

出かけたのは人体模型の工場、結婚式場、消しゴム工場、牧場、有名ブランドの洋服が作られる工房、CD工場、かつら製造工場と、一般にイメージする工場から工場と思わないようなところまで多岐に渡っており、村上氏のチョイスが興味深い。
結婚式場や牧場のような工場っぽくないところは、どのあたりが工場らしいかが本文中で語られており、言われてみればそのような要素もあると分かってくる。
また、取材したのが1986年ということで、当時CDが普及しだした頃という世相も感じられる。

村上氏の凝った考え方に妙な妄想が入り混じった独特の文章と、安西氏の力の抜けた感じのイラストが相まって、ゆるい雰囲気で工場見学が進んでいく。
特に、結婚式に至る流れを工場の工程のように進めている結婚式場の章や、牛が経済動物という表現で語られる牧場の章がいわゆる工場でない場所なだけに面白かった。
逆に、いかにも工場という感じの消しゴム工場やCD工場だと、製造工程の専門性の高さのために、工場に訪れた村上氏と安西氏、そして編集者の3人が”うなずきトリオ”と化してしまいやや単調な感じになっており、通常の工場見学レポートと異なっているのがまた味わい深い。

基調はゆるめの流れで、時折工場から現代社会に対する鋭い考察のようなところもしばしば見受けられ、独特の世界での工場見学を楽しむことができる。
村上&安西コンビのエッセイはゆるくて微妙な感じが好きで何冊か読んでいて、本書は正直それほど好きな作品とまではいかないが、まあまずまずというところか。




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2009/09/25(金) | 観・読・聴・験 備忘録