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『孟嘗君と戦国時代』:雨読夜話

ここでは、「『孟嘗君と戦国時代』」 に関する記事を紹介しています。
孟嘗君と戦国時代 (中公新書)
孟嘗君と戦国時代 (中公新書)
宮城谷 昌光
中央公論新社 2009-05

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中国古代を扱った作品の多い歴史作家による、中国の戦国時代概論。
最も戦国時代を体現するのにふさわしい人物として、著者が小説にもしている孟嘗君(もうしょうくん)を取り上げ、彼を通して戦国時代の政治や外交、思想などを分かりやすく語っていく。

孟嘗君とは山東半島にあった斉の王族で本名を田文といい、実力者として内政や外交に辣腕を振るった人物である。
食客三千人と言われるほど多くの食客を抱え、異能を持つ食客にピンチを救われた故事は鶏鳴狗盗(けいめいくとう)としても知られる。

当時の世相としては、中華の盟主だった周は一小国として落ちぶれたのに対し、周辺の秦・楚・斉・魏・趙・燕・韓の7ヶ国による戦争が繰り広げられる時代だった。
合従連衡という言葉もこの時代に生まれたものであることからも分かるように外交の駆け引きや謀略も盛んになされていた。
また、各国が人材を求めることを背景に百家争鳴と言われるほど多くの学派が生まれ、その中には孔子や孟子の儒家、老子や荘子の道家、商君や韓非子の法家などが知られている。
比較的自由な人の往来があり、かなりエネルギッシュな時代だったようである。

孟嘗君やその父靖郭君田嬰、当時の斉王だった威王や宣王の他、兵法家兼政治家の呉起、斉で活躍した兵法家の孫ピン、異民族の騎馬戦を取り入れた趙の武霊王など、有名かつ個性豊かな人物たちが多く取り上げられている。
また、道家の『荘子』には荘子の論争相手としてやりこめられがちな恵施という魏の宰相が登場するが、本書を読むと兵を動かさずに斉を弱めようとする謀略をしかけるなど、なかなかの策士だったことが分かってくる。

小説の『孟嘗君』を読んだ後であれば新たに知ることは多くないが、戦国時代や諸子百家について簡潔かつきれいに整理された形で構成されており、かなり読みやすい方だと思う。
中国戦国時代の入門書として、また『孟嘗君』のガイドブックとしても読むことができ、面白かった。

・・・ちなみに、孟嘗君が父の靖郭君と初めて対面した際の故事は大学の二次試験の漢文で出題され、ここだけは『孟嘗君』を読んでいたために比較的容易に解答できた。
高校までで出題される中国の古典はある程度限られていると思うので、読書好きで漢文の文法を覚えるのが苦手な中高生には、この手の小説や現代語訳の中国古典を多く読むことをお勧めする。




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