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『軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋』:雨読夜話

ここでは、「『軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋』」 に関する記事を紹介しています。
軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
石原 藤夫 (著), 金子 隆一 (著)
早川書房 2009-07-05

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SF作家兼工学博士の石原氏とサイエンスライターの金子氏による、軌道エレベーター(宇宙エレベーター)について、アイデアの変遷や技術的な方向性、発表されている構想などが書かれている本。
1997年に単行本で出版されたものが、宇宙エレベーター協会の大野修一氏と金子氏との対談を加えて文庫化されたものである。

昨年同じテーマを扱った『宇宙旅行はエレベーターで』を読んでいて、本書のオリジナルはそれより10年ほど前に出版されているが、それほど古びてもおらず興味深く読み進むことができた。

両者の違いとしては、『宇宙旅行は・・・』が比較的オーソドックスな構想(静止軌道上から上下にエレベーターを延ばす方式)を中心として技術や政治・経済・社会的なさまざまな想定される出来事などについて書かれているのに対して、本書では軌道エレベーターというアイデアの歴史から技術的な考え方、何通りかある軌道エレベーターの建造方法の紹介など幅広く書かれていて、方向性が若干異なるのでどちらもそれぞれ楽しむことができる。

印象に残ったのは軌道エレベーターの建造方法にいくつかバリエーションがあるところで、
  1. 比較的オーソドックスな、赤道上の静止軌道から地表に長大なエレベーターを下ろす方式
  2. 静止軌道よりは低い軌道に設置したエレベーターが時計の針のように自転し、タイミングに合わせて乗り物や荷物を宇宙へ引き上げる方式
  3. 低い軌道上から成層圏あたりまでエレベーターを伸ばし、そこまでシャトルやロケットで往復する方式
  4. 軌道上に地球を囲む長大なリングを設置し、そこからエレベーターを延ばす方式
とあり、概念は文章でうまく説明できないが、予想もしない方法が紹介されていて驚かされた。
1.の静止軌道エレベーター方式では静止軌道上を起点する必要があり赤道上のモルジブなど数ヶ所しか地上での設置に適さないようだが、2.~4.の方式では静止軌道よりも起点が低くても良く、どの軌道上でも設置できるメリットがあると想定されている。

また、軌道エレベーターの発展系として、
  • 軌道エレベーターを月まで延ばし、ロケットなしに月まで到達する
  • 赤道上の静止軌道に建造した複数の軌道エレベーターを軌道に沿ってネックレス状につなぎ、スペースコロニーにする
  • 月や火星に軌道エレベーターを設置する
などの構想も書かれていて、現実がSFに近づいているようでわくわくしてくる。

現在の技術的な最大の課題は、強さと密度の低さ(=軽さ)を兼ね備えた素材が大量に必要となるというところで、『宇宙旅行は・・・』でも取り上げられているカーボンナノチューブ(炭素原子が筒状に組み合わさった素材)の量産化がカギを握ると見られており、開発が期待される。

少し前に放送されていたアニメであるガンダム00でも登場していたように、軌道エレベーターはSFで定着した概念のようであり、現実にも可能性が高まりつつある構想なので今後も科学ニュースなどをチェックしていきたいところである。
随所で知的刺激を受け、面白かった。


[著者(石原氏)の作品]
《光世紀世界》への招待―近距離の恒星をさぐる (ポピュラーサイエンス)
《光世紀世界》への招待―近距離の恒星をさぐる (ポピュラーサイエンス)
石原 藤夫 (著)

裳華房 1994-07

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