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『地下・地下・地下!』:雨読夜話

ここでは、「『地下・地下・地下!』」 に関する記事を紹介しています。
地下・地下・地下!地下・地下・地下!

稲田 善紀 (著)
森北出版 1992-10

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地下空間利用を専門とする学者が、一般向けに現在行われている地下の利用方法や、これからなされるであろう地下利用の構想について分かりやすく紹介している本。

地下利用でのメリットとしては地表の建造物よりも断熱性が高くて寒暖の差が小さいことや騒音を防ぐことができることなどがあり、逆に課題としては強度や通気、水漏れや岩盤のひび割れといったあたりであるようだ。

日本の他に世界各国での地下に造られた住宅や施設、地下街などの例が以下のように掲載されており、15年経た現在でも内容が古びていない。
  • オーストラリアのオパール産地であるクーバーペディでは、山師たちがオパールを掘るためにあけた穴を利用して作った住居に住んでおり、ホテルやバーも地下にある。
    このあたりは以前読んだ椎名誠の『熱風大陸―ダーウィンの海をめざして』にもその様子が書かれていて面白かった。
  • アメリカ内陸部の一部では寒暖の差が激しいため、覆土式(ふくどしき)と呼ばれる屋根に土をかぶせた住宅があり、たとえ10cmだけでもかなり室内の温度差を小さくできる。
    最近話題になる屋上緑化も、この方式のオプションといえるかもしれない。
  • ノルウェーでは山の地下にアイスクリーム工場やダム、下水処理場が作られている。
    特にダムは普通に作ると冬に凍って生活用水が得られなくなることに対する知恵として地下に造られている。
  • 日本では例えば東京の高輪変電所は高野山東京別院の地下に大規模なものが存在する。
    これは『新説 東京地下要塞 ― 隠された巨大地下ネットワークの真実』にも書かれていたが、真言宗では寺の地下に別の施設を造っても問題にしていないようだ。
  • 日本の石油備蓄基地には地下岩盤タンク備蓄という形でなされているところがあり、比較的新しい方法として水封式地下備蓄方式が採られている。これは石油の周囲を水で満たす方式であり、水と油が混じらない性質を利用したうまいやり方だと思った。
  • 今後の地下利用として低温物質や高温物質の利用促進を挙げており、それに対しての課題として岩が膨張したり縮んだりすることで岩盤がひび割れすることと、それに対しての対策の仕組みが書かれていた。
著者は日本が山がちであることから平地が足りなくなっているとしており、山の地下の利用を勧める記述が随所でなされている。
これは特にダムやゴミ処理場、下水処理場など周辺環境に負荷のかかる度合いが高かったり地域住民から建設を反対されがちな施設に向くのではないかと思う。

地下という響きだけでも何かわくわくするものがあるが、具体的な利用や構想が分かりやすく書かれていて興味深く読むことができた。




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