『諸子百家 (講談社学術文庫)』:雨読夜話

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諸子百家 (講談社学術文庫)
諸子百家 (講談社学術文庫)
浅野 裕一 (著)
講談社 2004-11

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中国の春秋・戦国時代に活躍した思想家たちである諸子百家について、近年の発掘結果や研究を踏まえた形で解説している本。
以前読んだ『図解雑学 諸子百家』の内容を、読み下し文や訳文つきで詳細に論じているものといえる。

構成としては最初に諸子百家の概略と、近年見つかった竹簡などからそれぞれの書物が書かれた時期の特定や、書物間の関連について新たに分かってきたことが書かれ、その後に以下の11人の思想家たちを章別に紹介している。(カッコの中は大まかな学派)
・老子(道家)、荘子(道家)、楊朱(道家?)、墨子(墨家)、孔子(儒家)、孟子(儒家)、恵施(名家?)、公孫龍(名家)、鄒衍(陰陽家)、孫子(兵家)、韓非子(法家)

比較的よく知られる孔子や孟子、孫子などの他、あまり知られていない揚朱や恵施、公孫龍、鄒衍といったあたりが書かれているのがいい。
資料があまり残っていないこともあって彼らの思想はよく理解できなかったが、揚朱は快楽主義や歴史の否定、恵施や公孫龍は名称と実態の乖離を問題視した上での世界観の再構築、鄒衍は想像できないところまでの広い視野から現世を捉えるといったあたりを主張しているように思われた。

また、『図解雑学 諸子百家』にもあったように孔子や孟子、韓非子に対しての著者独自の解釈や、神格化されがちな彼らを引きずりおろすような解説が痛快である。
例えば、孔子はさほど低い階級出身で周代の礼を知っているわけがないのに礼学の師を名乗り、孔子やその弟子がこの手の突っ込みを受けて苦しいはぐらかしを繰り返すあたりが笑えてくる。
どうやら孔子は礼学を足がかりに天下を狙おうという野望があったように書かれ、このあたりは以前読んだ谷沢永一の『正体見たり社会主義』に書かれていたマルクスの野心家ぶりと重なってきた。

当時の群雄割拠の情勢に対してのスタンスもそれぞれ異なっており、勢力均衡を維持し続けた方がいいというのが墨子や恵施、公孫龍などで、逆に統一されるのが理想としていたと思われるのが鄒衍や孔子、孟子などと分かれており、こうした違いから思想家たちの言動を見ていくのも面白い。

ページ数の都合により、古代思想の総合者とも言われる荀子があまり触れられていないのは残念だが、思想家たちの思想や事跡がきれいにまとめられていて興味深かったと思う。


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