『超円高社会 日本が変わる』:雨読夜話

ここでは、「『超円高社会 日本が変わる』」 に関する記事を紹介しています。
超円高社会 日本が変わる
超円高社会 日本が変わる
水澤 潤 (著)
講談社 2009-02-21

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世界金融危機で各国の通貨が弱体化したことや、これまで続いた日本政府の円安方向への為替介入の反動により、円高が急激に進んでデフレともなることで、日本の多くの国民が繁栄を謳歌することになるであろうことを論じている本。

しばしば日本は貿易立国であり円高は輸出企業に打撃を与え、またデフレは悪であるといった印象で語られることが多いが、これらは輸出企業が主体となった財界トップやインフレで財政赤字を減らそうという日本政府によるプロパガンダであることが主張されている。

実際には日本は貿易よりもむしろ内需主体の経済構造を持つ国であることや、物価の推移は15年くらい横ばいでデフレとは言えないことが経済データで裏付けている。
金融危機前の好景気とされた時期に景気がいいという実感が大衆になかったこと、格差が広がっていたことや”買い負け”という現象が続発したのは政府による円安介入や無駄な公共投資で国富が他国に流出するという人災によるものだとしていて、説得力が感じられる。

下に挙げた関連記事で書いた作品でもあったように、自国通貨が高くなり過ぎて衰えた国はなく、逆に通貨の暴落がいかに破滅的な状況を招くかはアイスランドで”よりバカ理論”によるバブルで陥った事例を語っている。

そしてバブルがはじけた世界から、失われた10年でバブルのダメージを一通り受けて比較的ましな状態の日本に対してマネーが流入することになり、円高とデフレで政府は財政赤字、大衆は潤うというシナリオが描かれている。

著者は日本政府と大仰に言っても、所詮明治維新にて発足し、敗戦で一度会社更生法の適用を受けた一法人でしかないとバッサリ断じ、いまだに複式簿記でなく大福帳型の単式簿記で運営されるために経営効率が誰も分からないという大欠陥を抱えているとしていて、割り切った書き方がなかなか痛快に感じる。

あと、公共投資における今後の方向性として、長谷川慶太郎の本でしばしば書かれる日本近海の海底深くに眠るメタンハイドレード開発の他に、水資源の活用を主張している。
これは全国の水道事業体を水道パイプラインで結ぶことで水資源の効率的な利用を促進し、中韓にパイプラインで輸出して政治的に首根っこを押さえることや、中東行きのタンカーのバラスト水の代わりに真水を積んで輸出することで中東との結びつきを強固にするなど、戦略的に有効な手段であることがよく分かる。

テンポの良い語り口とシンプルかつ分かりやすい図表を用いて、報道で流布されているイメージを打破し、本質的なところを理解すると日本国民の先行きが明るいことが書かれ、興味深く読むことができた。

[著者の他の作品]

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