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『リーマン恐慌-元リーマン幹部が語る、マネー崩壊後のゆくえ』:雨読夜話

ここでは、「『リーマン恐慌-元リーマン幹部が語る、マネー崩壊後のゆくえ』」 に関する記事を紹介しています。
リーマン恐慌
リーマン恐慌岩崎 日出俊 (著)
廣済堂出版 2008-11-25

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投資銀行の業務を描いた『投資銀行―日本に大変化が起こる』を著していて、昨年9月に破綻したリーマン・ブラザーズの幹部だった著者による、今回の恐慌の発生プロセスや今後予想される影響などについて論じている本。

投資銀行の本業がどのようなものかは上記の本に書いてあったが、本書では商業銀行(一般にイメージされる形態の銀行)との違いについて書いてあり、両者の違いとしては預金という形で運用資金を集めることができるかどうかということのようだ。
投資銀行は預金を扱えないために株式や証券による資金調達を行い、一般には証券会社に近いように見られがちである。

今回の金融恐慌およびそれまでのバブルにおいては、レバレッジをかけての強気な運用や、CDO(債務担保証券といい、貸し倒れに対する保険証券)によるジャンク債の”つけ回し”など、金融工学を利用して実体経済の何倍もの金額が世界中で動くことになったのが背景としてあり、そのなかの不良債権がどれくらいあるのかが分からないという信用不安を、少し前に日本で問題となった汚染米に例えて解説している。
証券化のいきすぎについては、少し前にアメリカで発生したエンロン・ショックを描いた『青い蜃気楼―小説エンロン』でも証券化のいきすぎも破綻の一因になったことを思い起こした。

また、これまでアメリカでは土地は上がり続けるものという土地神話が長い間続いてきたことや、90年代に司馬遼太郎が『アメリカ素描』で金融工学の発展や製造業の衰退に不安を覚えていたこと、資源の高騰が投機だけでなく新興国の需要増にもよるために今後も資源価格については予断を許さないことなど、現在の世界経済について分かりやすく解説されている。

今回の恐慌は世界的に長く続くことが予想され、素人が現在の株価下落などをチャンスとして小賢しく立ち回ろうとすることを戒めるところは、業界の高い地位にあった人の発言だけに傾聴に値する。
”金は天下の回り物”という言葉があるが、実態をかけ離れて回り過ぎるのも問題なのだろう。

[今回の金融危機を扱った作品]

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