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『殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界 (講談社学術文庫)』:雨読夜話

ここでは、「『殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界 (講談社学術文庫)』」 に関する記事を紹介しています。
殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界 (講談社学術文庫)
殿様と鼠小僧  松浦静山『甲子夜話』の世界 (講談社学術文庫)
氏家 幹人 (著)
講談社 2009-01-08

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平戸松浦藩主を務め、隠居後に膨大な量のエッセイ集である『甲子夜話』を著した松浦静山(清)について、『甲子夜話』の記述を元に当時の世相や静山の生涯を描いている歴史読み物。

静山は優秀だと評判を受けており、本人も先祖に寺社奉行だった藩主もいたために幕府の要職に就くべく賄賂を送るなどの運動を行っていたようだが、外様大名であることや長崎警備という制約もありその願いはかなえられることはなかった。
こうした状況にいらだったのか、静山は周囲から猛反対を押し切って47歳という比較的若い年齢で隠居したが、その後それを後悔するような記述も『甲子夜話』に書かれている。

その後は本所の下屋敷で趣味に打ち込んだり知り合いの御家人や町人などからいろいろな話を聞くなど悠々自適の生活を楽しむ日々を送っていたが、友人の儒者である林述斎からこれまでの見聞を書きとめた記録の作成を勧められ、死の直前まで書き続けたのが『甲子夜話』となり残っている。

書かれている内容としては静山の生い立ちや当時の大名の生活事情、奇人たちの行状などさまざまなことが書かれており、静山の几帳面さや好奇心の旺盛さ、顔の広さなどがうかがえる。

静山が大立ち回りを演じる時代小説の『甲子夜話秘録鼠狩り』やその続編の『甲子夜話秘録 狐狩り』には御家人の通称八百吉こと荻野長や町人の名和屋千次郎、修験者の行智といったメンバーが登場するが、彼らは架空の人物ではなく実際に静山と交流しており、『甲子夜話』でも書かれているというのは初めて知った。

特に面白く感じたのは表題にもある鼠小僧の話・・・よりも、当時娯楽としても大流行していたと思われる怪異譚の方で、静山の屋敷で働く下僕の中にも地元で出現するという巨大なウワバミの話をする者や、天狗に異界へとさらわれた体験を語る者などが2人もいたりするなど、半信半疑ながら興味津々に話に聞き入る静山の姿がイメージされてきそうである。

また、当時実際に起こっていた怪異として、関東周辺から江戸にかけての墓地にある何百体の石塔が夜間何者かによってピカピカに磨き上げられるという事件が書かれており、管轄の寺社奉行も動き出す騒ぎになったという。
真相は不明ながら、こうした怪しい話がいくつも書かれているのは実に楽しい。

『甲子夜話』が武家社会だけではなく上から下まで多くの事象が書かれた作品で、他にもどんな怪しい話が書かれていたか非常に気になる。
幅広く関心を持たせるような構成になっており、興味深く読むことができた。




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