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『道誉と正成』:雨読夜話

ここでは、「『道誉と正成』」 に関する記事を紹介しています。
道誉と正成
道誉と正成安部 龍太郎 (著)
集英社 2009-08-05

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『太平記』でもそれぞれ主要な登場人物として派手な活躍をする”バサラ大名”佐々木道誉と”忠臣”楠木正成の2人を主人公として、それぞれの視点を交互に代えて展開する歴史小説。

始まりは鎌倉時代末期に正成が大塔宮護良親王の呼びかけに応じて河内や大和で倒幕活動を始め、道誉率いる鎌倉幕府軍と合戦するところで、道誉は正成の変幻自在な用兵に手を焼きつつも一進一退の戦いを繰り広げる。
その後大塔宮に信服した道誉も倒幕活動に転じることになり、正成とともに倒幕の功労者となるが、建武の新政による混乱により再度敵味方に分かれることとなる。

本書で特徴的なのは、道誉が近江北部をから日本海沿岸から元との交易ルートを握っていたり、正成が畿内から伊勢湾、そして東海道沿いの水運に多大な影響力を持つなど、両者とも当時の言い方で悪党というか、西国の利にさとい商業的武士という面を強調して描いているところで、経済小説っぽいところが面白い。

また、ライバルとしてたびたび戦うことになる2人は互いに知略や大局観、民衆に対する愛情などの点でお互いを認め合っているところが随所で描かれており、より良い世の中を求めて北条氏の牛耳る鎌倉幕府と戦ったにも関わらずその後の後醍醐天皇の治世における腐敗や混乱を憂いるところは一致している。
それだけに立場や信じるものの違いから戦わざるを得ないところにこの時代のつらさが伝わってくる。

他にも魅力あふれる大塔宮のカリスマ性や、賄賂キャラから途中で転身を図ろうとする千種忠顕、天皇の権威を理解できない高師直に陰険過ぎる足利直義など多彩な人物が登場してまあまあ楽しめた。

ただし戦闘シーンがいまひとつなのと、オカルトチックな仕掛けのわざとらしさがちょっと苦手だった。このあたりは好みが分かれると思う。




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