『オイルマネーの力 世界経済をリードするイスラム金融の真実 』:雨読夜話

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オイルマネーの力 世界経済をリードするイスラム金融の真実 (アスキー新書 78)
オイルマネーの力 世界経済をリードするイスラム金融の真実 (アスキー新書 78)
石田 和靖 (著)
アスキー・メディアワークス 2008-09-10

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海外投資専門のWEBチャンネルを運営し、ドバイ株投資などの著作が多い石田氏による、中東経済やイスラム金融について紹介している本。

まず、普段イスラム圏とされる地域はMENA(ミーナ:Middle East and North Africaの略で、中東および北アフリカのこと)と呼ばれており、大きく三分すると、
  • 北アフリカ : チュニジア、モロッコ、エジプトなど
  • レバント(地中海東岸) : シリア、ヨルダン、パレスチナ、レバノン
  • GCC(湾岸協力会議) : サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン
というくくりで捉えることができることが書かれている。

次にイスラム金融が成長してきた背景には、
  • 石油価格の高騰
  • 9.11後にアメリカからマネーが還流
  • イスラム金融の制度が整備された
  • イスラム金融の透明性への評価が高まった
という4つの要因があるとしていて整理された書き方になっていると感じた。

他にも、著者と関わりの深いドバイを中心に、例えば以下のようなことが書かれている。
  • GCC諸国ではペルシア湾岸統一通貨の動きが進んでおり、比較的経済成長の遅れたオマーンが離脱したこともあって現実味を帯びている。
    (為替レートはサウジアラビアのようにドルペッグにするのか、それともクウェートみたいに通貨バスケットにするのか、あるいは変動相場制にするのか、どうなんだろう?)
  • ドバイなどでは欧州、アフリカ、アジアなどを結ぶ地理的優位性を活かして、中間貿易地としても成長している。例えばケニア産の花はこれまで欧州経由で日本に輸出されていたのが、ドバイ経由となりコストが下がったという。
  • 中東の人々の民族的な性格としては、ものづくりやビジネスモデル構築などは苦手だが、商業には長けている。また、取り扱うモノを包み隠さず見せるというさっぱりした特徴もある
  • ダルフール内戦で欧米諸国が手を引いたスーダンに積極投資を行うなど、中東諸国は新興国が新興国へ投資するという”南南協力”のモデルとして注目されている。
    (南北という表現が少々古臭い気もしないでもない・・・)
  • 現在課題と思われるものには途上国からの労働者への待遇の悪さ、民主化への取り組み、国民の労働意欲の低さなどがある。

ドバイ寄りとなりがちな著者のポジションや、出版後に発生したリーマン・ショックによる世界的な金融恐慌の影響などを割り引いて読む必要があるが、実際に体験したことなどを交えた丁寧な書き方に好感が持て、なかなか面白かったと思う。

[著者の他の作品]

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