読んだ本の感想をつづったブログです。


『養生訓』 病気にならない98の習慣 (日経プレミアシリーズ)『養生訓』 病気にならない98の習慣 (日経プレミアシリーズ)

周東 寛 造事務所
日本経済新聞出版社 2013-08-09

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江戸時代における黒田藩の儒学者だった貝原益軒が書いた『養生訓』から98の言葉を抄訳し、現在の医学の観点から解説している作品。
著者は台湾出身の医師で、1項目当たり見開き2ページの構成になっているので読みやすい。

まず、胃腸などの消化器を労わることが重要で食べすぎ、飲みすぎ、寝る前の食事、刺激物などを避け、温かくて消化のいいものを食べることを勧めているのは理にかなっている。
ただし陰陽五行説による食物の分類が現在から見ると少し怪しかったり、食品の保存技術が発達していなかったことによる言葉もあったりと、現在では通用しないところもいくつかある。

他にも頭を冷やして身体をほどよく温めること、顔や手足などをマッサージする手法、同じ姿勢を続けることの弊害、歯磨きの重要性など、思っていた以上に現在でも通用する話が多い。
この中では足の指をマッサージしたり正座をしている時に動かして足のしびれをやわらげられるという話が特に参考になったように思う。

単に現代語訳したものを読むまではいかない『養生訓』のエッセンスを知ることができたのが最大の収穫で、そこそこ興味深く読むことができた。






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論語抄 (中公文庫)
論語抄 (中公文庫)陳 舜臣
中央公論新社 2009-08

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陳舜臣による、『論語』の言葉についての解釈や時代背景などを語っているエッセイ。
原文が編集された順に話を進めている。

まずまえがきで、説教調にならないよう気をつけたと書いていて、上から目線や説教臭い文章がいかに読者から嫌われるかを分かっていると好感が持てる。
この種の古典や思想に関する本ではこれが分かっていないのか、分かっていてもどうしてもそうなってしまうのか、そのような書き方になっている人が多いのには辟易させられる。

『論語』が編纂された当時は文字を竹簡や木簡に書き付けていて手間がかかることから、分かりきっていたことを省略しているケースが多かったようで、そうしたところの解釈が分かれがちなことが書かれていて、なるほどと思う。

そしていくつかの学説を紹介していて、漢文だと接続詞のニュアンスが伝わりづらくて複数の受け取り方ができてしまうものだと改めて感じる。

弟子たちの問答については彼らのキャラクターや、『春秋左氏伝』や『史記』などの歴史書で描かれた彼らの活動も紹介されている。
例えば子貢が仕えていた魯の国が隣国の斉から攻められないように呉や晋といった斉のライバル国と外交交渉を行っていたなどの話が書かれていて、孔子の弟子たちが政治の世界で活躍していたことが分かる。

この中では清廉潔白すぎて面白みがない顔回よりも、表裏がなくて感情をストレートに表す子路、才能豊かだがしゃべりすぎの傾向がある子貢、孔子に遠慮なく質問するシーンが目立つ子張などの方が感情移入しやすい。

後世に国教化したり朱子学のように原理主義的になった儒教とは合わないような言動を孔子がしていたり、弟子の派閥によって異なる解釈や話が書かれているなどの類推がされているのも興味深い。

著者らしい丁寧で分かりやすい語り口が読みやすかった。






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関連タグ : 孔子, 陳舜臣,

「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
「街道」で読み解く日本史の謎 (PHP文庫)
安藤 優一郎
PHP研究所 2016-11-04

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街道という切り口から日本史における出来事の背景を、20章にわたって解説している作品。
東海道や中山道といった比較的有名な街道から、下田街道や秋葉街道、伊那街道といったローカルな感じがする街道に至るまで多くの街道が幅広く扱われている。

信長、秀吉、家康をはじめとした戦国大名による合戦や江戸時代での交易や観光、明治時代における近代国家建設といった話との関連が分かりやすく書かれていて、興味深く読み進んでいくことができる。
特に下記の話はあまり知らなかったので、特に面白かった。
  • 江戸時代における箱根の関所は厳重なイメージがあるが、旅行者の激増によって厳しい検問ができなくなっていった
  • 伊豆半島南端の下田は江戸時代に港町として栄え、幕府の役人が往来するために天城越えをする下田街道が利用されていた
  • 駿河と相模の間は足柄ルートがメインだったが、富士山の噴火に遭ったことをきっかけに箱根ルートがメインになった
  • 秋葉原の地名は、火伏の神を祀っている遠江の秋葉神社に由来する
  • 中馬(ちゅうま)と呼ばれる、江戸幕府の認可を受けていない運送業者が伊那街道で活動していて、幕府もその影響力を認めざるを得なかった
街道というタイトルからは司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズを連想するが、タイトルを見る限りでは本書で扱われている街道と必ずしも重なっておらず、それぞれ別で楽しめそうである。

読者が楽しめそうな街道のネタは他にも少なくとも1冊分くらいはあると思うので、続編が出ることも期待したい。
また、著者の本は初めてだと思うので、他にも何冊か読んでみようと考えている。






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流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)
流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)
伊藤 元重
NHK出版 2014-01-08

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具体的な例を挙げての解説が分かりやすい経済学者による、ここ数十年の流通業の変化と経済に及ぼした影響について語っている作品。
読んだことがある過去の著作で目にした事もある、下記のような話題が扱われている。
  • アメリカの要求による大規模小売店舗法(大店法)の緩和
  • 内外価格差の解消
  • 高齢化社会への対応
  • 小売業の郊外への進出と都心部への回帰
  • 百貨店の変動
  • 問屋に代表される中間流通の再編
  • 情報技術の発達が流通業に及ぼした影響
  • アジア市場拡大への対応

ダイエー、ユニクロ、セブンアンドワイ、吉野家、ウォルマートといった企業が取っている手法が分かりやすく書かれているので読みやすい。

著者はミクロ経済や流通が元々の専門だと思っていたが、実際は国際経済学や貿易摩擦などを研究していたと語っていて意外だった。
それが、日本で羊毛の市場についての専門家がいないために調査してほしいとの依頼を受けたことがきっかけで、流通の現場で調査する魅力を感じて現在に至る過程が書かれていたので興味深い。

流通業にまつわる多くの話題が分かりやすくまとめられていて、概要を知ったり知っている事項を整理するのに役立つ1冊だと思う。






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自分の価値に気づくヒント (ディスカヴァー携書)
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ジェリー・ミンチントン (著), 弓場 隆 (翻訳)
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2016-08-11

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自分の価値を認識して前向きに生きるためのヒントについて、1項目当たり見開き2ページで100項目で語っている作品。
著者の『うまくいっている人の考え方』『心の持ち方』の2冊が良かったので、続けて読んだ。

本書でも心に響く方法がいくつも書かれていて、中でもポジティブなことについて方法や計画を色々と考えてみることや、過去に自分がうまくできたことをリストアップして書き出しておくことなどは、快適な形で効果がありそうだと感じた。

また、他人からのアドバイスや批判についてはまずは内容を吟味すること、その上で本当に自分のために言われたものか、それとも悪意や支配する意図があるものかを判別してそれに応じた行動をすべきというくだりも印象に残る。

自尊心の低さを他人を下げることで晴らそうとする人、他人を支配して操ろうとする人は必ずいることがしばしば書かれていて、こうした人からの影響をいかに排除するかが重要ということは非常に納得できる。

自分の中に批判者と支援者が存在するという表現も面白く、これらが過去に他人から受けた言動に起因するところも大きいとしていて、たまには自分を見つめなおすための方法論としていいと思った。

本書もよく売れていることが納得できるし、折に触れて読み返したい。






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