読んだ本の感想をつづったブログです。


逆転の世界史 覇権争奪の5000年
逆転の世界史 覇権争奪の5000年
玉木 俊明
日本経済新聞出版社 2018-05-25

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以前読んだ『先生も知らない世界史』の著者による、経済や物流の観点から覇権が近世にアジアからヨーロッパに移り、現在アジアに戻ってきつつあるという構図で世界史を語っている作品。

過大評価されてきた存在と過小評価されてきた存在についての話がしばしばなされていて、認識を新たにするきっかけとなる。
前者が古代ギリシアや中世イタリアの都市国家などで、後者がフェニキア人(地中海から北海)、アルメニア人(ユーラシアの陸上)、ポルトガル人、セファルディム(イベリア半島などのユダヤ人)などによる交易などを挙げていて、イギリスやオランダがバルト海交易で物資を調達していた話も興味深い。

ポルトガルは商人のネットワークが強くて領土を失っても貿易での影響力を維持できたことや、イベリア半島とサハラ地域、ブラジル、西インド諸島などは南大西洋の海流を利用すれば意外と近かったことから奴隷やサトウキビの貿易が拡大した話が面白い。

大航海時代に大西洋やインド洋の物流をヨーロッパ諸国が握ったことが覇権を握ったことにつながったり、商業のルールが明文化されたこと、蒸気機関や電信の発明が世界を小さくしてきたことなど、多くの要素がつながっていることも伝わってくる。

近代のところでは資本主義は単体でも存在できるが共産主義は貿易相手の資本主義国が存在しなければ存在できないという話や、アメリカは国際機関を通しての支配だったことが不安定さにつながった話などがなされていて、あまり意識してこなかったことが多く書かれている。

過去に読んだ著作2冊よりもページ数が多い分か、広い視野から多くの要素が入った形で世界史が語られていて、興味深く読むことができた。他の著作も読んでみたい。






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北条氏康 関東に王道楽土を築いた男 (PHP新書)
北条氏康 関東に王道楽土を築いた男 (PHP新書)
伊東 潤 板嶋 恒明
PHP研究所 2017-09-16

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戦国時代の北条氏において、勢力を伸ばすことに大きく貢献した三代目の北条氏康の事跡や関東における戦乱、北条氏の代ごとの事情などを解説している作品。
歴史ライターの板嶋氏の原稿を、歴史作家の伊東氏が分かりやすくした構成のようである。

北条氏の治世の特徴としては中間搾取を減らして年貢を安くしたり、法令や統治組織を整えるといった戦国大名の中でも特に民のことを考えた政治をやっていたことで、北条氏の後に関東を治めた家康が統治に苦労したことからもそれは伝わってくる。

そして氏康が用いていた印判には「祿壽應穩」(ろくじゅおうおん、民の財産と生命を守るという意味)と書かれていて、例えば信長の『天下布武』などと比較するとかなり印象が異なる。

北条氏が戦ってきたのは元々領土を奪ってきた山内上杉氏・扇谷上杉氏の関東管領家あたりから、古河公方足利氏、安房の里見氏、そして氏康に敗れた山内上杉憲政を保護した上杉謙信などで、河越夜戦や2度にわたる国府台の戦い、小田原城籠城戦など多くの戦いが描かれている。

そして氏康の戦い方は父・氏綱から伝えられた義のために戦うということの他、領民を苦しめないために大会戦を避けたり、できるだけ無理をしない戦い方が目立っている。
(特に、明らかにやばい上杉謙信とはできるだけ正面から戦わないようにしている)
もっとも、河越夜線のようにここぞという時は果敢な戦いもしていて、自ら剣を振るうことも多かったようである。

暗君扱いされることが多い息子の氏政にも危機管理能力に優れた慎重な人物と評価していて、もう少し思い切りが良ければ北条氏が滅ぼされることはなかったかもしれないとしている。
武田氏・今川氏との三国同盟についても、武田信玄が駿河への執着によって同盟破棄をせずに継続していたら、三氏とも滅びなかった可能性があったというIFの話も興味深い。

周囲に武田信玄、上杉謙信、今川義元、徳川家康といった目立つ戦国大名たちと領地を接していながら戦うことが多かったのは知名度が低い地方勢力だったり、華々しい滅び方をしたわけでもないこと、記録が欠落しているなどの理由があって少し地味な印象がある北条氏だが、その地域にあった政治や外交、合戦などをしてきたことが伝わってきて、思っていた以上に興味深く読むことができた。






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巧みな「人心操縦術」中国古典の教え: 華僑大富豪の成功法則 (知的生きかた文庫 お 67-2)
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大城 太
三笠書房 2018-02-22

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華僑の大物から中国古典に由来する人生やビジネスの要諦を学んだ人物による、『華僑の大富豪が教えてくれた「中国古典」勝者のずるい戦略: 欲しい「答え」はここにある』の続編に当たる作品で、成功するために周囲の人を動かす方法を解説している作品。

単に成功を収めて目立つと嫉妬を受けたり謀略を仕掛けられるため、陰陽の考え方から事前工作を密かに実施して表でさっと実行、成功したら目立つ前に身を潜めるという方法論が書かれている。
これは以前読んだ『鬼谷子-100%安全圏から、自分より強い者を言葉で動かす技術』ともかなり通じる内容となっている。

賢い人、成功している人と見られることはある種のリスクを抱えることになるという理屈は、まあ理解しやすい。
目立たないようにするには、自慢したい気持ちを抑えて理性的に考えることができるかどうかがポイントのようである。

そして後半では、上司、同僚、部下とそれぞれのカテゴリーで扱いにくい人の利用法をタイプ別に解説している。
その人が名誉と富のどちらを求めているか、何を恐れているかを把握した上で、こちらの意図を悟られないようにしながら人を動かす方法を語っている。

嫌いなタイプの人を動かすことも多いわけで、このあたりもいかに感情をコントロールして実行するかが試されるのだろう。
成功するには必要なのだろうが、ちょっと実行が難しい。

やりすぎにならないようにうまく実施するヒントが多く書かれていて、かなり参考になる内容だと思う。






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「覇権」で読み解けば世界史がわかる
「覇権」で読み解けば世界史がわかる
神野正史
祥伝社 2016-09-02

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ローマ帝国、中華帝国、イスラム帝国、大英帝国、アメリカ合衆国と、それぞれの時代で覇権を握ってきた国々の興亡から、歴史の法則や歴史から導き出される教訓などを解説している作品。

長所で滅ぶ、絶頂を迎えると滅ぶ、経済大国は侵略に向かう、国内問題から目をそらすために外征するなど、38もの歴史法則が書かれていて、かなり分かりやすい。

現在は教育もあって何となく民主政治が正しいと思う人が多いが、総力戦になったのは民主主義国が増えたことが理由としていて、理由は君主や大臣は損得を考えて程々のところで終戦を考えるが、正義を煽られた民衆は限界を越えて戦う傾向を指摘している。
(初期のイスラム帝国などが強かったのも、宗教による正義を煽られた信者の力によること部分が大きかったことと近い)

初期は柔軟な政策を採っていたローマ帝国が滅亡の道を歩み始めたのはグラックス兄弟の改革を潰した時点だとしていて、塩野七生の『ローマ人の物語』シリーズではまだまだ序盤の第3巻くらいのところなので少し驚いた。
その後滅亡までかなりの時間を経過しているが、これは拡大戦争を続けたことで不満の捌け口をそらし続けることに成功し続けたためのようである。

中国では興亡のパターンが3回ほど変わっているとしていて、1回目が隋唐までの漢民族の王朝のパターン、2回目が清までの漢民族の王朝と遊牧民の王朝が交代するパターン、3回目が近代の皇帝が存在しない政権のパターンということになる。
中国は皇帝を戴く制度が合っていたのに、これをやめてから混乱が続いているという指摘はなかなか勇気がいる書き方だとも思う。

アメリカの特徴には宣伝のうまさ、自らの悪行や勝手な要求を美辞麗句で飾り立てて正しいことであるように主張することを挙げていて、事例を見ると確かにそうだと思わされる。
また、真珠湾攻撃や9.11での疑惑があるように、戦いのために自国民を見殺しにすることを躊躇しない傾向があることにもアメリカの怖さを感じた。

歴史上のポイントを思い切った書き方で指摘している書き方が分かりやすく、歴史への理解が進んだように感じる。
著者の他の作品も読んでみたい。






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街道をゆく 夜話 (朝日文庫 し 1-55)
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司馬 遼太郎
朝日新聞社 2007-10-10

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司馬遼太郎による短いエッセイや評論、解説、あとがきなどから、『街道をゆく』シリーズにつながるものを集め、地域ごとに構成している作品。

収録された文章の種類と数が多いこともあり、面白い作品、つまらないと感じる作品のばらつきが大きい。
内容としては出会った人とのローカルすぎるやり取りを長く続けたり、地域振興などのために書かされたと思われる作品が厳しい。
おそらく著者がまとめてほしくなかったと思っているものも多いのではないだろうか。

興味深かったのは幕末に会津から激動の舞台に引っ張り出された秋月悌次郎の素朴な感じや、京都の人に見られる複雑な感情、出雲の人々に見られる大和への反感や石見の人から嫌われる事情、播磨の三木城で秀吉軍との篭城戦を戦った別所氏の時代遅れな見識などで、どうやら話の広がりと面白さに相関関係がありそうである。

解説文には『街道をゆく』シリーズの入門書に最適と書かれているが、そうでもないと思っている。
理由は本作の文章だと著者の話が脱線したままになったり、話が戻っても残りのページ数が少なかった場合が多かったことによる。
『街道をゆく』シリーズは私にとっては、つまらない脱線と面白い脱線を読み分けるもので、ある程度のページ数がないと良さが出ないような気がしている。






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